精密根管治療
根管治療とは
虫歯が重度に進行すると、虫歯菌が歯の神経まで感染し、歯の内部にある神経を取り除く必要が出てくることがあります。
根管治療とは、文字通り「歯の神経が入っている根の管(根管)」に対して行う治療です。もし根管治療を行わずに放置してしまうと、細菌が歯の根の先にたまり、やがて根の先が化膿してしまいます。その結果、強い痛みが出たり、歯ぐきや頬が腫れたりすることもあります。
根管治療が必要となる状態は、大きく分けて次の2つです。
- ① 歯の神経が炎症を起こしているものの、細菌感染がない、もしくは軽度な「歯髄炎」
- ② 歯の神経がすでに失活、または除去され、細菌感染が成立している「根尖性歯周炎」
基本的には、①の状態を放置したり、十分な治療が行われなかったりすると、②へと移行していきます。また、治癒率は①よりも②のほうが低いことが分かっています。そのため、①の段階で正確な診断を行い、適切な処置を行うことが、根管治療を成功へ導く大切なポイントになります。
歯髄(歯の神経)の診断
適切な治療を行うためには、まず正確な診断が欠かせません。ただし、現時点では歯髄の状態を100%確実に診断できる方法は存在しないのが現状です。
高輪の歯医者「TAKANAWA GATEWAY Clinics 歯科・矯正歯科」では、ひとつの検査結果だけに頼るのではなく、複数の検査を組み合わせ、多角的な視点から歯髄の状態を判断しています。
- 温度検査:専用の器具を用い、歯髄が温度刺激に反応するかを確認します。
- 電気検査:専用の機器で歯髄にごく弱い電流を流し、その反応の有無を確認します。
これらの結果を総合的に評価することで、より慎重な診断を行っています。
根尖部(根の先)の化膿の診断
歯の根の先が化膿しているかどうかの診断は、歯髄の診断と比べると比較的行いやすく、主にレントゲン検査を用いて確認します。
当院では、すべての患者さまにCT撮影を無料で実施しています。これにより、まだ痛みが出ていない段階の化膿や、通常のレントゲンでは見つけにくい小さな病変まで確認することが可能です。
根管治療の種類
①抜髄
まだ死んでいない歯の神経を取り除く処置を抜髄といいます。虫歯や歯の破折が原因で細菌が歯の神経まで到達し、炎症を起こしている状態(歯髄炎)がこれにあたります。
原因を取り除くことで神経が回復する場合もありますが、炎症の程度によっては、早急に神経を取る必要があるケースもあります。
まだ細菌感染が成立していない段階で行う治療のため、治療の成功率は約90%とされています。
②感染根管治療
歯の神経がすでに死んでしまい、根管内で細菌が増殖している状態です。多くの場合、歯の根の先で化膿が起こっています(根尖性歯周炎)。
通常は体の免疫力によって症状が抑えられていますが、疲労や体調不良などで免疫力が低下すると、急に痛みが出ることがあります。
細菌感染がある分、治療の難易度は上がり、成功率は約80%とされています。
③再根管治療
過去に根管治療を受けた歯が、再び感染を起こしている状態です。原因はさまざまですが、初回治療時の感染の残存や、治療後の被せ物の不適合などが主な要因とされています。
この状態は非常に治療が難しく、成功率は約70%とされています。
日本における根管治療の現状
日本の歯科医療全体を見ると、根管治療は決して成功率の高い治療とはいえないのが現状です。過去のデータでは、その成功率は30~50%程度と報告されています。一方、欧米をはじめとする先進諸国では、70~90%とされており、日本との差は明らかです。
この違いの大きな要因として、治療の基本的なコンセプトが十分に守られていないことが挙げられます。
根管治療でもっとも重要なのは、「根管内に細菌を侵入させないこと」です。そのために欠かせない器具がラバーダムです。お口の中は、唾液を含め常に多くの細菌が存在する環境です。ラバーダムを使用せずに治療を行うと、治療中に根管内へ細菌が入り込みやすくなり、治療の成功率が下がってしまいます。
日本で根管治療の成績が伸びにくい理由のひとつとして、ラバーダムの使用が十分に徹底されていないことが挙げられます。
そのほかにも、顕微鏡の使用率やバイオセラミック系材料の活用など、先進諸国と比べると十分とは言えない点もありますが、ラバーダムはその中でも特に重要な要素です。
また、質の高い根管治療を行うためには、ラバーダム以外にも安価ではない器具や材料を複数使用する必要があります。しかし、日本の保険診療では、それらの費用を十分にまかなえる点数設定がされていないため、必要な環境を整えにくいという現状もあります。
ラバーダムとは?
ラバーダムとは、根管治療の際に治療する歯だけを露出させ、周囲をゴム製のシートで覆う器具です。唾液や細菌が治療部位に入り込むのを防ぎ、根管内を清潔な状態に保つことで、治療の成功率を高めます。また、薬剤や器具の誤飲を防ぐ安全面のメリットもあります。精密さが求められる根管治療において、ラバーダムは重要な役割を果たします。
ラバーダムについて詳しく見る
根管治療を成功させるためには
根管治療の目的は、根の先に化膿(根尖性歯周炎)を起こさず、歯をできるだけ長く使い続けることです。そのためには、以下の3つのポイントが重要になります。
1.無菌的処置の徹底
根管内に細菌を入れないことが、治療成功の大前提です。当院ではラバーダムを使用し、治療中の細菌感染防止を徹底しています。使用する器具についても、可能な限り患者さまごとに新品または滅菌されたものを用い、清潔な環境で治療を行います。
2.細菌数を減少させる
すでに入り込んでしまった細菌を、できるだけ減らす工程です。
①根管拡大
ニッケルチタンロータリーファイルを使用し、根管を適切な形に広げながら、内部に存在する細菌を物理的に取り除いていきます。
②根管洗浄
根管は非常に複雑な形をしているため、器具だけでは十分な清掃ができません。そのため、次亜塩素酸ナトリウムとEDTAという2種類の洗浄液を使用し、細かく入り組んだ部分まで洗浄することで、細菌を化学的にも除去します。
③根管貼薬
根管拡大と洗浄後、根管内にお薬を入れて一時的に封鎖します。これは、処置だけでは取りきれなかった細菌をさらに減らすことを目的としています。
3.きれいな根管を維持する
根管内を清潔な状態にできたら、その環境を長く保つことが重要です。防腐作用のある材料やバイオセラミック系の糊材で根管内をすき間なく満たし、再び細菌が侵入しないようにします(根管充填)。
また、治療後に装着する被せ物の精度も非常に重要です。適合の良い被せ物を装着することで、細菌の侵入を防ぎ、治療の成功率を高めることにつながります。
根管治療の流れ
虫歯の除去と歯の補強
まずは虫歯を徹底的に取り除きます。虫歯を取り終えた後、治療中に細菌が入り込まないよう、歯の欠けた部分を一時的に補強します(隔壁)。
根管口を探す
歯の内部にある神経の部屋(髄室)へアプローチします。歯や患者さまによって神経の入っている根管の数は異なるため、それぞれの入り口(根管口)を慎重に探し出します。
根管の長さの測定
根管口が見つかったら、ファイルと呼ばれる細い針金のような器具を根の先まで挿入し、根管の正確な長さを測定します。この工程が、治療の精度を左右する重要なポイントになります。
根管の清掃・消毒
測定した長さに合わせて、柔軟性のあるニッケルチタンファイルで根管を最小限に広げます。同時に消毒剤を使用し、根管内部を徹底的に洗浄・消毒していきます。
根管貼薬(1回目治療終了)
ある程度消毒が完了した段階で、根管内にお薬を入れてフタをします(根管貼薬)。この状態で一度治療を終え、1~2週間ほどお薬を効かせます。
根管充填と土台作り
再来院時に問題がなければ、根管内に防腐剤の詰め物を行います(根管充填)。その後、感染を防ぐため、歯と強力に接着するレジンなどの材料で上からフタをし、歯の土台を作ります(築造)。
その後は、できるだけ早めに型採りを行い、仮歯や最終的な被せ物を作製していく流れとなります。
根管治療をした歯の予後
「神経をとった歯はカラカラになって脆くなる」という話を聞いたことはありませんか?これは厳密には正しくありません。神経を抜いたからといって、歯の水分量が著しく減ることはなく、歯の強度も神経を抜いただけでは低下しません。
歯の強さは、残っている歯の量に大きく左右されます。神経を抜く必要がある歯は、もともと大きな虫歯で歯の多くを失っていることが多く、そのために強度が低下してしまうことがあるのです。
当院では、根管治療後の歯には基本的に被せ物での修復をご提案しています。詰め物と比べると、健康な歯の部分を少し削る必要がありますが、その分歯全体をしっかり補強できます。実際、根管治療後に抜歯になってしまった歯の多くは、被せ物をしていなかったケースが多いというデータもあります。
根管治療で感染をしっかりコントロールしたうえで、精度の高い被せ物で修復すれば、予後は十分に安定しており、あまり心配する必要はありません。
外科的アプローチ(外科的歯内療法)にも対応
「高輪の歯医者「TAKANAWA GATEWAY Clinics 歯科・矯正歯科」では、あらゆる歯髄炎や根尖性歯周炎に対して、感染に最大限配慮した根管治療を行っています。しかし、場合によっては根管内への細菌侵入を防ぎきれなかったり、細菌を十分に減らせなかったりして、治療が成功しないことがあります。
そのような場合に残されている最終手段が、外科的なアプローチです。外科的歯内療法は主に2種類に分けられます。
歯根端切除術
歯ぐきを切開して歯の根を直接見える状態にし、膿を取り除きつつ、根の先端約3mmを切除する手術です。根管の先端は細かく分岐していることがあり、その部分を取り除くことで細菌を除去します。
成功率は高い方法ですが、どの歯にも使えるわけではありません。特に一番奥の歯では適応が難しい場合が多いです。
意図的再植術
一度歯を抜き、お口の外で根の先端約3mmを切除した後、再びお口の中に戻す方法です。基本的な考え方は歯根端切除術と同じですが、歯根端切除術が難しい部位で用いられます。成功率は高いものの、抜歯の際に歯が割れてしまうと再植できないというリスクがあります。
どちらの方法も患者さまに一定の負担がかかる治療ですが、ご自身の歯をできるだけ長く残したい方に向けた最終手段としてご案内しています。
より安心・確実に根管治療を受けるために
当院では、保険内の根管治療でも、最低限の無菌的対応(ラバーダムの使用)や、保険で認められた器具・材料は必ず使用しています。
しかし、コスト面の制約から、患者さまごとに新品の器具を使えなかったり、バイオセラミック材料を使うことが難しい場合があり、理想的な治療を行うことが難しいことがあります。そのため、治療の成功率がやや低下してしまうこともあります。
自費診療の場合は、根管治療の成功に必要な器具や材料を惜しみなく使用できるのが大きなメリットです。当院には根管治療に精通したドクターがおりますので、歯の神経の痛みや膿でお困りの方は、ぜひ一度カウンセリングにお越しください。
根管治療のよくあるご質問
Q.治療はどれくらい時間がかかりますか?
A.当院の根管治療は、1回あたりおよそ90分程度で行っています。
Q.何回くらい通院が必要ですか?
A.根管治療自体は通常2~3回で終了します。ただし、その後に被せ物を作る処置などを行うため、合計で5回前後の通院が必要になることが多いです。
Q.治療後は痛みがありますか?
A.半数の方は麻酔が切れた後もほとんど痛みを感じずに過ごされています。残りの方は、術後に軽い痛みや歯ぐきの腫れを感じることがありますが、2~3日で落ち着くことがほとんどです。